■簡単なあらすじ
動かせ 歴史を 心を 運命を ――星を。舞台は15世紀のヨーロッパ。異端思想がガンガン火あぶりに処せられていた時代。主人公の神童・ラファウは飛び級で入学する予定の大学において、当時一番重要とされていた神学の専攻を皆に期待されていた。合理性を最も重んじるラファウにとってもそれは当然の選択であり、合理性に従っている限り世界は“チョロい”はずだった。しかし、ある日ラファウの元に現れた謎の男が研究していたのは、異端思想ド真ン中の「ある真理」だった―― 命を捨てても曲げられない信念があるか? 世界を敵に回しても貫きたい美学はあるか? アツい人間を描かせたら敵ナシの『ひゃくえむ。』魚豊が描く、歴史上最もアツい人々の物語!! ページを捲るたび血が沸き立つのを感じるはず。面白い漫画を読む喜びに打ち震えろ!!
■おすすめポイント
「ひゃくえむ」はテーマがスポーツだったせいか、作品に込められた情熱はストレートで暑苦しくも好ましいものだった。が、こちらの「チ」はヤバいわ……テーマも媒体も変わったせいか、すべての皮をかなぐり捨てて本領発揮。
もう情熱というより狂気。マジキチの域に達している。それでいて読者の目をぐいぐい引き込んで離さない。
こんな地味な表紙からは信じられないほどの情熱、いや魂が籠められている。いっそ恐怖すら感じた。こんな作品を描いてくれて、出版してくれてありがとう。
ちなみにP国といった表記は、逃げではなく星新一のエヌ氏などと同じで個性を抜くためだろう。歴史じゃないんですよ、だから責めないでくださいよ、というスタンスをとりたいなら、もっと簡単に架空の国の名前を付ければ終わる話だ。そこをあえてアルファベット表記にしたのは、主眼が歴史に挑むとかそういったところではなく、魂のあり方であることに注目してほしいゆえの、背景の透明化ではないかと思う。
異端と断じられながらも『地動説』を証明しようとした者たちの物語。
信念をつらぬく主人公たちには熱さがあり、歴史的な背景もきちんと感じさせる作りは素晴らしいが、
なにより素晴らしいのは、エンタメ作品としてストーリーの構成が練りこまれていることだと思う。
しかも、読み手をドキドキさせたうえで驚かせる、という方向で。
冒頭、世界チョレ〜とか舐めてる主人公が改心する流れも、尊敬できる師に諭されて……みたいな展開だと思ってたら、アレ!?
主人公が、これを受け継いだなら、きっとこういう展開に……えええ!?
冒頭の拷問シーンって誰なんだろう……おお!?
新鮮な驚きの連続でした。
チ。というタイトルの、驚きと面白さも凄かったですが
タイトルの驚きだけで中身スカスカの漫画でもなく
タイトルの面白さに反して、中身は渋い中世の物語とかでもありません。
タイトルの驚きと面白さをスタートに、中身もそれ以上に驚くし面白い、傑作エンタメです!
■読んでみる
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